ポイント
- レンバチニブ・バンデタニブ使用中の患者が倦怠感を訴えた場合はすぐに薬剤を減量・中止するのではなく副腎不全の可能性を評価することが重要
レンバチニブ(®レンビマ)とバンデタニブ(®カプレルサ)は放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんと甲状腺髄様癌の治療に使われるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI: tyrosine kinase inhibitor)です。
高血圧、倦怠感、下痢、体重減少などの副作用の報告があり、12-14%程度の患者が副作用により内服が中止となります。
なかでも説明不能な倦怠感・無力感は24-59%程度の患者にみられ、薬剤中止の最多の原因になる。
今回、単施設で治療抵抗性の分化型甲状腺がんと甲状腺髄様癌の患者でレンバチニブ(n=7)とバンデタニブ(n=5)使用中の12例をフォローアップし、早朝(8-9時)空腹時のコルチゾールと迅速ACTH(250μg)試験で評価した。
結果
10人が倦怠感を訴え(レンバチニブ6、バンデタニブ4)、全員コルチゾールは正常範囲内だったがACTHの上昇を認めた。
10人中6人が迅速ACTH試験でコルチゾール上昇の反応が悪く副腎不全の診断となった。
腹部CTとPET-CTで副腎転移は全員否定的だった。
副腎不全の診断となった6人は全員ステロイド(酢酸コルチゾン CA)補充で症状が改善した。
nが少なく単施設からの報告が難点ですが、有用な報告だと思います。
ポイント
- レンバチニブ・バンデタニブ使用中の患者が倦怠感を訴えた場合はすぐに薬剤を減量・中止するのではなく副腎不全の可能性を評価することが重要
参考文献
Colombo C. Primary Adrenal Insufficiency During Lenvatinib or Vandetanib and Improvement of Fatigue After Cortisone Acetate Therapy. J Clin Endocrinol Metab. 2019 ;104:779-784. PMID: 30383218.