全く症状がない甲状腺機能亢進症・バセドウ病を診たときはビオチンの大量摂取を考慮する
ビオチンはビタミンB7で、4つのカルボキシラーゼの補酵素として重要で、脂質代謝・ロイシン分解・糖新生に関わる。ビオチンの推奨1日摂取量は30μg/日。
低〜中等量のビオチンはマルチビタミンに含まれ、高用量のビオチンは多発性硬化症に使われることがある。
皮膚・爪・髪などに対するサプリとして海外輸入品の5~10mgの高用量のものを内服していることもある。
ビオチンは免疫測定系の要素なので、多量に内服すると甲状腺機能測定の際に干渉してしまう。
全く症状がない場合に偶発的に検査で見つかった場合はバセドウ病と誤診され、抗甲状腺薬による治療が開始される恐れがあります。致死的な副作用を起こすこともあるので、そうなる前にサプリの接種歴についてしっかり問診をすることが大事。
全く症状がない甲状腺機能亢進症・バセドウ病を診たときはビオチンの大量摂取を考慮する
〈参考文献〉
Elston MS. Factitious Graves’ Disease Due to Biotin Immunoassay Interference-A Case and Review of the Literature.
J Clin Endocrinol Metab. 2016 Sep;101(9):3251-5.PMID: 27362288.
Li D. Association of Biotin Ingestion With Performance of Hormone and Nonhormone Assays in Healthy Adults.
JAMA. 2017 Sep 26;318(12):1150-1160. PMID: 28973622.