軽症〜中等症の急性膵炎に対しては入院時からの低脂質食開始で入院日数・合併症・腹痛の再燃・食事摂取不良・オピオイド投与・コストを減らしうる。
〈概念〉
近年のガイドラインでは早期の食事再開が推奨されているが、具体的なタイミングについては不明。
多施設RCTが2017年3月1日から2019年1月31日で行われた。
対象は軽症〜中等症(mild~moderate)の急性膵炎。
介入群(IORF)は低脂質食を入院直後から症状や検査所見に関係なく開始。
コントロール群(CORF)は腹痛がなく・腸蠕動を認め・膵酵素が正常上限の2倍以下・WBC15000以下・CRP減少傾向を満たしていたら、絶食→clear liquids→低脂質食の順に食事を上げていく。
輸液や鎮痛はガイドラインに則って両群で適切に行われた。
プライマリーアウトカムは入院日数。
セカンダリーアウトカムは合併症、腹痛の再燃、血液検査、食事摂取量、入院費。
軽症〜中等症の急性膵炎に対しては入院時は絶食で腹痛が改善傾向であれば食事を再開してきたが、入院時から開始は今までしたことがない。
今後入院時からの食事提供がスタンダードになるかもしれない。
さらなるデータの蓄積が期待される。
軽症〜中等症の急性膵炎に対しては入院時からの低脂質食開始で入院日数・合併症・腹痛の再燃・食事摂取不良・オピオイド投与・コストを減らしうる。
〈参考文献〉
Immediate Oral Refeeding in Patients With Mild and Moderate Acute Pancreatitis: A Multicenter, Randomized Controlled Trial (PADI trial). Ann Surg. 2021;274:255-263. PMID: 33196485.
Determinant-based classification of acute pancreatitis severity: an international multidisciplinary consultation. Ann Surg. 2012 ;256:875-80. PMID: 22735715.