内分泌

ゴナドトロピン分泌低下症の診断の手引き

ゴナドトロピン分泌低下症の診断の手引き

I. 主症候
 1. 二次性徴の欠如(男子15歳以上, 女子14歳以上)または二次性徴の進行停止
 2. 月経異常(無月経, 無排卵周期症, または稀発月経)
 3. 性欲低下, 勃起障害, 不妊
 4. 陰毛・腋毛の脱落, 性器萎縮, 乳房萎縮

II. 検査所見
 1. 血中ゴナドトロピン(LH, FSH)は高値ではない.
 2. ゴナドトロピン分泌刺激試験(LHRH, クロミフェン, またはエストロゲン負荷)に対して, 血中ゴナドトロピンは低反応ないし無反応(注1).
 3. 血中, 尿中性ホルモン(エストロゲンまたはテストステロン)の低値

III. 参考所見
 小陰茎, 停留精巣, 尿道下裂, 特徴的な体型, 無(低)嗅症(Kallmann症候群), 頭蓋内器質性疾患の合併ないし既往歴, 治療歴又は分娩時の大量出血の既往がある場合がある. また, Kallmann症候群ではMRIにて嗅球無形成または低形成を認めることが多い. ゴナドトロピン負荷に対して性ホルモン分泌増加反応を認めることが多いが, 先天性では反応が低下することもある. ゴナドトロピン分泌不全症に原発性性腺機能低下症を併発する病態があることにも留意する. ANOS1, FGFR1, CHD7などの遺伝子の病的バリアントを認めることがある.

IV. 除外規定
 ゴナドトロピン分泌を低下させる薬剤投与や, 高度肥満・神経性やせ症を除く.

[診断基準]
確実例:
 1. IのいずれかとIIのすべてを満たすもの.
 2. Kallmann症候群の基準を満たすもの(注2).

(注1) 視床下部性ゴナドトロピン分泌低下症の場合は, LHRHの連続投与後に正常反応を示すことがある.

(注2) Kallmann症候群ではゴナドトロピン分泌低下症に加えて, III. 参考所見の身体所見, 及び原因遺伝子の変異を認めることがある.

間脳下垂体機能障害と先天性腎性尿崩症および関連疾患の診療ガイドライン 2023年

ABOUT ME
guni
総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。