内分泌

プロラクチノーマ ドパミン作動薬の中止

〈概念〉
プロラクチノーマの治療の第一選択はドパミン作動薬であるが、中止について論文を読んでみた。

まず2010年のJCEMのメタアナリシス。19の研究、743人(特発性高プロラクチン血症49人、マイクロプロラクチノーマ353人、マクロプロラクチノーマ159人、残り182人は病型不明)が対象。
全体として中止後も血中のプロラクチン正常が保たれたのは21%だった。カベルゴリンは35%、ブロモクリプチン20%とカベルゴリンのほうが成績がよい。24ヶ月以上の治療は有意に再発が少なかった。(34% vs 16%)。このメタアナリシスは試験間の差が大きいのが問題。再発が多すぎる印象。

このメタアナリシスにも用いられた代表的なColaoらによる2007年の報告を読む。
対象は血中PRLが女性では<25μg/L、男性では15μg/Lかつカベルゴリン開始後腫瘍が50%以上縮小した患者。腫瘍は視神経から5mm以上離れており、海綿静脈洞浸潤などがみられないもの。MRIの読影エラーのリスクを下げるため、患者は上記の条件を満たしてから12ヶ月のカベルゴリンの治療を受けて薬剤を中止とした。
カベルゴリン治療前に手術や放射線治療を受けたものは除外。
血中PRL値が正常上限を超えた場合に再発と判定した。
上記上限を満たす221人(特発性高プロラクチン血症27人、ミクロプロラクチノーマ115人、マクロプロラクチノーマ79人)が患者群。
カベルゴリン中止前は0.5mg/週まで減量し、減量後も血中PRLが正常の場合はカベルゴリンを中止にした。
結果としてカベルゴリン中止後特発性高プロラクチン血症の25.9%、ミクロプロラクチノーマの33.9%、マクロプロラクチノーマの53.1%が再発した。

解析すると中止前のPRLのnadir値と腫瘍径が予測に使える。
nadirのPRL値が<5.4μg/L(<162 mU/l)は再発に対して感度81.5%、特異度68.6%

中止時の最大腫瘍径3.1mmをカットオフとすると感度52%、特異度86%

中止後24-96ヶ月のKaplan–Meier曲線において、nadirのPRL値が<5.4μg/Lと腫瘍径3.1mmを両方満たさないものは90%が再発、いずれか片方のみは40-50%再発、両方満たすものは20%以下の再発であった。

これらをまとめると、カベルゴリン内服で腫瘍が50%以上縮小し、0.5mg/週までカベルゴリンを減量してもプロラクチンが正常範囲内に保たれていて、少なくとも2年以上内服加療した患者はカベルゴリン中止を検討
特発性高プロラクチン血症の25.9%、ミクロプロラクチノーマの33.9%、マクロプロラクチノーマの53.1%が再発するが、nadirのPRL値が<5.4μg/Lと中止時の最大腫瘍径3.1mm以下の場合は再発は20%以下まで減るので積極的に中止を考慮する。

〈参考文献〉
Recurrence of hyperprolactinemia after withdrawal of dopamine agonists: systematic review and meta-analysis.
 J Clin Endocrinol Metab. 2010;95:43-51. PMID: 19880787.
Predictors of remission of hyperprolactinaemia after long-term withdrawal of cabergoline therapy.
 Clin Endocrinol (Oxf). 2007;67:426-33. PMID: 17573902.

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guni
総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。