呼吸器

SASPによる薬剤性肺炎

SASP(サラゾスルファピリジン)による薬剤性肺炎と診断した症例がいたので勉強.

来院2ヶ月前に関節リウマチと診断された高齢女性
サラゾスルファピリジンとセレコックスが開始となった.
その1ヶ月後から乾性咳嗽が出現.
胸部レントゲンでは異常がなく経過観察されていたが,改善ないため再度受診.好酸球上昇と胸部CTですりガラス影を認め,SASPによる薬剤性好酸球性肺炎と診断して,薬剤を中止した.その後咳嗽は改善傾向であったが,関節炎が増悪したため少量のプレドニゾロンが開始となり最大3000程度まで上昇していた好酸球も正常範囲まで改善し,症状は消失した.
後から振り返ると典型例ですが,知らないと見逃してしまうので注意.


サラゾスルファピリジン SASP
1940年代に開発された抗リウマチ薬(DMARDs)
メサラジンとスルファピリジンがアゾ結合している
関節リウマチ、潰瘍性大腸炎などの治療に使用する
炎症性腸疾患の治療には代謝産物であるメサラジン(5-ASA)が主に用いられる.

SASPによる薬剤性肺炎において平均投与期間は17.8ヶ月(0.5-120ヶ月)
 比較的長いのが特徴です.
好酸球性肺炎となることが多いです。
薬剤性好酸球性肺炎の被疑薬としても多くを占めます.

症状は
呼吸困難80%発熱70%咳嗽64%、体重減少22%、胸痛20%、皮疹8%
*上記3徴を伴うのは50%以下とされる.

〈検査〉
末梢血好酸球上昇54%  432-7500mm3(平均1995)
DLST メサラジンの症例では半数が陽性

〈治療〉
基本的に90%の患者が改善し,予後は良好.
改善まで平均6.5週間(1-32週).
40%の患者がコルチコステロイドを使用されている

まとめ
サラゾスルファピリジンは好酸球性肺炎を起こしうる
平均投与期間は長いため注意を要する
SASP内服中+咳嗽・発熱・呼吸困難+好酸球上昇で疑う

参考文献
Parry SD. Sulphasalazine and lung toxicity. Eur Respir J. 2002;19:756-64.PMID: 11999006.
Bartal C. Drug-induced eosinophilic pneumonia: A review of 196 case reports. Medicine (Baltimore). 2018;97:e9688. PMID: 29369189.


ABOUT ME
guni
総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。