内分泌

重症低Na血症の補正速度

文献

今回の文献はCorrection Rates and Clinical Outcomes in Hospitalized Adults With Severe Hyponatremia: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Intern Med. 2024:e245981.

背景

重症の低Na血症に対する安全かつ適切な補正速度はRCTもなくわかっていない。
米国と欧州のガイドラインでは浸透圧性脱髄症候群(ODS)を防ぐために補正速度を制限している。これらの推奨はエビデンスレベルの低い報告と専門家の意見に基づいている
そこで今回、重症の低Na血症に対する補正速度と死亡率についてシステマティック・レビューとメタアナリシスがなされた。

方法

対象は血清Na値<120mEq/L未満もしくは125mEq/L未満かつ重度の症状(cardiorespiratory distress、seizures、GCS≤8、意識障害)ありの患者。
補正速度はvery rapid (12mEq/L/日以上)、rapid (8-10mEq/L/日以上)、slow (8未満または6-10mEq/L/日未満)、very slow (4-6mEq/L/日未満)に分けられた。
主要評価項目は院内死亡と30日死亡。

結果

16のコホート研究の11811人、平均68.2歳、女性56.7%。
rapid群はslow群、very slow群と比べて院内死亡を1000人あたり、それぞれ32人(OR0.67, 95%CI, 0.55-0.82)、221人 (OR0.29; 95%CI 0.11-0.79)減らした
30日死亡率はそれぞれ61人(OR0.55, 95%CI, 0.45-0.67)、134人(OR0.35, 95%CI, 0.28-0.44)減らした。
ODSの発症率に有意差はなかった
 ODSはvery rapid群594例中2例(0.3%)、rapid群3842例中18例(0.5%)、slow群5652例中10例(0.2%)、very slow群2466例中1例(<0.1%)で発生した。リスク差に有意差はなかった。

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guni
総合内科と内分泌代謝科で修行中。日々勉強したことを投稿しています。 皆様の参考になればと思います。役に立ったらシェアをお願いします。間違いがあればご指摘下さい。 臨床に応用する場合は自己責任でお願いします。